『無意識』シリーズは、日本の美意識――侘寂、幽玄、物の哀れ、粋、間など――を手がかりに、 写真を通して禅の生活観・世界観を探究する。 ここで捉える「美」は華やかさや完璧さではなく、不完全さ、移ろい、静けさの中に立ち上がるものだ。 微かな光、空気の含み、ものの古びや痕跡、言葉にしがたい感情に焦点を当てている。 作品には意図的に余白を残し、意味を一つの答えに固定しない。 鑑賞者が記憶や感情を重ね、 作品とともに見る行為を完成させていく――それは「現在」や「無常」に触れるための静かな入口でもある。 制作では出力と紙材選びも重要な要素とし、和紙それぞれの繊維の質感や透光性に合わせて表現を調整する。 日常の微細な痕跡を通して、美意識を生活へ引き戻し、鑑賞が内側へ向かう安定と気づきとなることを目指している。