展示コンセプト 私たちの日常は、あまりにも当たり前すぎて、意識の隙間をすり抜けていきます。 『香港の日常』は、香港という街が持つ独自の活気や生活の細部を、スナップショットの手法で掬い上げたシリーズです。
本展では、竹棚、精肉店、ミニバスといった、現地の人々にとっては「空気」のような光景に光を当てます。 しかし、それらは単なる記録ではありません。一見、札幌の生活とは異質に見える風景の中に、 普遍的な「人の営み」や「時間の流れ」を見出すことで、 鑑賞者が自身の日常をも新たな視点で見つめ直すきっかけとなることを願っています。
日本で初めての展示となる本展を通じ、写真という共通言語で札幌と香港の心の距離を繋ぎます。
焼味店(シュウメイ)
広東発祥のローストミート「焼味(シュウメイ)」は、香港を代表する伝統の味のひとつ。 手頃な店から高級店まで、さまざまな場所で親しまれている。
昔は夕食のおかずが足りないとき、焼味を買って一品足すことがよくあった。 香港ではそれを「加料(ガーリウ)」と呼ぶ。
深水埗(シャムスイポー) 古い住宅が密集し、空き家も目立つ街・深水埗。 それでも路面店は灯りを落とさず、 日用品を並べ、日常は静かに回り続けている。
嘉頓山(ガーデン・ヒル) 嘉頓山という名は、麓にある老舗の製パンブランド「嘉頓(ガーデン)」に由来する。 山上からは深水埗の街並みを望できる。 遠くにそびえる高層群は近年開発が進む高価格帯の住宅エリアだ。
戸外の物干し(洗濯物) 湿度の高い香港では、住まいの空間も限られていることが多く、 洗濯物を屋外に干して自然に乾かす。 雨が降りそうになると、所から決まって聞こえてくる ――「雨や!はよ洗濯物取り込んで!」
生鮮市場(ウェットマーケット) 濡れた床が続く市場で、 生きた家禽や海鮮の音と匂いは、子どもには少し怖いかもしれない。 けれど、料理人や主婦にとっては、新鮮な食材を自分の目で選べる—— それはきっと、「食材の宝庫」だ。
精肉店(肉屋) さまざまな部位の肉がずらりと並ぶ。指さして量を伝え、 切り方をひとこと言えば、店員が手際よくその場で切り分けてくれる。
後巷(路地裏) 香港には路地裏が多く、店が作業場として使うことも少なくない。 荷物の出し入れや仕込み、清掃や片付けが行われ、 表通りを離れても、ここには人の動きと暮らしの気配が残っている。
昔ながらの市場の衰退 大手チェーンが生鮮に力を入れるにつれ、昔ながらの市場は少しずつ静かになっていく。 それでも通い続ける人がいる。 値段の手頃さだけでなく、店主との顔なじみの関係—— その「つながり」が残っているから。
竹棚(竹の足場) 香港では外壁工事に、竹の足場(竹棚)がよく使われる。 竹を組み、結び、建物全体を覆うように立ち上げていく。 一見頼りなく見えて、実は驚くほどしっかりしている。 とても伝統的で、世界的にも知られる建築の技法だ。